世界最長のホームストレートを持つ富士は、開幕当初よりポルシェが得意とするコースと公言している。そのプレッシャーと、20kgのウェイトハンデにも負けず、チーム全員で、「勝ちたい」という意志を持って臨んだシーズン最終戦。
2日金曜日のフリー走行時には総合トップという、その実力を見せつける形で迎えた、3日土曜日の予選。300クラスの予選アタック開始5分、谷口選手が乗り込みピットアウトしたが、まさかの11番手のタイムで、チームに焦りの色が見えた。マシンから降りた谷口選手も、険しい表情。スーパーラップ出場を目指し、谷口選手は再びマシンに乗り込んだ。500クラスとの混走時にタイムを出すことはそう簡単ではないが、緊張した空気の中、谷口選手がアタック開始。そして、1’42”259をマークし、5番手でスーパーラップ出場を決めた。予選終了後、1位のマシンに規定違反があり、ユンケルパワータイサンポルシェは予選4番手でスーパーラップに挑むことになった。そして迎えたスーパーラップ。谷口選手は早々にマシンへと乗り込み、集中力を高めていた。いつも明るく、穏やかな谷口選手だが、ヘルメット越しに見える目つきは鋭い。ピットアウト、ウォーミングラップを終え、いよいよアタック開始となったが、アタック開始のヘッドライトが点灯しない。小さく見受けられるトラブルだが、谷口選手の集中を切らすには十分だ。タイムは1’43”035で、7番手。マシンから降りてきた谷口選手は悔しさを隠せない表情だった。
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そして決勝当日。朝から富士山もくっきりと姿を現し、清々しい1日となった。前日のスーパーラップでは不本意な結果にだったが、気持ちを切り替え、朝のフリー走行ではトップタイムをマークした。そして、14:05に決勝スタート。ユンケルパワータイサンポルシェは7番手からのスタートだったが、谷口選手の好スタートで4位にジャンプアップ。ここから谷口選手の猛追と言ってもいい走りが始まった。2ラップ目には3位、3ラップ目に2位へポジションアップし、あっという間にトップが見えてきた。5ラップ目、トップとの差が3,8秒まで追い詰め、10ラップ目にはトップとの差が1秒、トップは目の前。谷口選手の冷静かつ気迫のドライブが続く。ピットも食い入るようスタッフ全員がモニターを見つめ続ける中での12ラップ目、ユンケルパワータイサンポルシェは遂にトップに躍り出た。さらに2位との差を引き離しにかかる谷口選手。30ラップでピットインの予定だったが、谷口選手は33ラップでピットイン。2位に10秒以上の差をつけ、ドミニク選手へステアリングを渡した。メカニックも完璧なピット作業をし、34秒でドミニク選手をコースへと送り出す。マシンから降りてきた谷口選手にスタッフからかけられた言葉は、「カッコイイ走りだった」。そして、ユンケルパワータイサンポルシェの「カッコイイ走り」は終わらない。ドミニク選手は、1度もトップを明け渡すことなく、2位に14秒もの大差をつけ、チェッカーを受けた。
「圧勝」という言葉がぴったりなレース。茂木での40秒という大差での勝利に続き、最終戦で再び魅せてくれた。実はスタート前、スタッフ同士での雑談中で、「今日のレースは1周目で5位、2周目で3位、10周目くらいまでに2位にアップして、20周くらいまでには1位になり、そのまま優勝する。」という話を、やや冗談交じりにしていた。まさにその予想以上の活躍を見せてくれたユンケルパワータイサンポルシェ。結果として、チャンピオンシップに絡むことはできなかったが、シーズン前にあったであろう周囲の想像以上の活躍で、SUPER GTの面白さや感動を、見せて、伝えてくれた。 |