植物性
キク科の多年草であるオケラやオオバナオケラの根茎を乾燥したもの。11月上旬から2年生根茎を収穫する。掘り上げた根茎は、水洗後日干乾燥する。味はわずかに苦い。虫害のない芳香の強いものが良品である。オオバナオケラの方が佳品とされる。
ビャクジュツ(オケラ)は日本において古くから使用されてきたことから人々にとって馴染みの深い植物であり、オケラについて歌った和歌や民謡が多く残っています。日本最古の和歌集である万葉集では、「我が背子をあどかも言はむ武蔵野のうけら(おけら)が花の時なきものを」として、オケラの花の慎ましく愛らしい姿が詠まれており、特別な植物であったことがわかります。また、信州地方の民謡で「山で旨いはオケラにトトキ、里で旨いはウリ、ナスビ。嫁に食わすもおしゅうござる。」と歌われており、味良し・効き目良し・見た目良しの3点揃った生薬こそビャクジュツであると言えます。